IELTSというと、多くの日本人学習者が「スピーキングができない」「ライティングが書けない」といったアウトプット系への不安を真っ先に口にする。しかし、これは大きな誤解だ。
私がサウサンプトン大学でMBAを取得したとき、実際に一番きつかったのは、圧倒的にリーディングだった。
「読めないと、何も始まらない」現実
MBAの課題は、ほぼすべてがエッセイだ。エッセイには根拠が求められる。つまり、読む量が前提になる。
- 1本のエッセイに最低でも15〜20本の文献
- 週に何千語も読むのが当たり前
- 内容を理解した上で、批判的に読む必要がある(Critical thinking)
読めない人は、最初のスタートラインにすら立てない。
ドイツ人が言っていた「一番大変なのはリーディング」
イギリスに来た当初知り合ったケビンというドイツ語通訳の知人は、こう言っていた。
「一番大変なのはリーディングだよ」
当時はピンとこなかったが、MBAが始まってすぐ、その意味がわかった。
苦しんでいたのはPre-sessional組だった
クラスにはPre-sessional(事前英語コース)から上がってきた学生も多かった。彼らの多くが授業についていくのに苦しんでいた。
※Pre-sessional:IELTS6.5が取れなくても、6週間以上の事前英語コースを無事修了すればIELTS6.5相当と見做される救済措置。
あるグループアサインメントでの話だ。5人で役割分担を決めていたとき、台湾人の学生が私にこう言った。
「僕のパート、少し減らしてもらえない?」
正直に言えば、「できない人に引っ張られてペースを落としたくない」という気持ちはあった。だから、僕は彼の申し出を受け入れようとした。ところが、
ノンネイティブのインド人が突きつけた真実
その場で、インド人のクラスメイト(Angie)がこう言ったのが強烈に残っている。
「できないのは当然でしょ。私は4歳から英語をやってるんだから。問題は能力じゃなくて、勉強量よ。」
彼女もノンネイティブだ。しかし、自分が話せる理由を「才能」ではなく「圧倒的なインプット量」だと理解していた。
「英語ができない」の正体は、インプット不足だ
英語ができない理由はシンプルだ。インプットが足りない。
特に、日本人に圧倒的に足りないのが「精読を伴うリーディング」だ。
- 語彙を文脈で理解する
- 論理構造を追う
- 抽象的な内容を英語のまま処理する
これができない状態で「正確に話そう」「論理的に書こう」とするのは無理がある。
リーディングは、すべての土台
リーディングが鍛えられると、他の力が連鎖的に伸びる。
- 語彙が増える
- 文法が「感覚」でわかる
- 情報処理が速くなる
- リスニングが楽になる
- スピーキング・ライティングの精度が上がる
アウトプットは、インプットの写し鏡だ。読めないものは書けない。理解していないものは話せない。
結論:幻想を捨てて、腰を据えて読む
IELTSで伸び悩んでいる人ほど、話す練習・書く練習ばかりを増やす。しかし、本当にやるべきはそこではない。
一番地味で、一番きつくて、でも一番効果が出るのはリーディングだ。
幻想を捨てて、腰を据えて読む。それができた人から、IELTSは「対策ゲー」から「攻略可能な試験」に変わっていく。
